現代においてペットを飼う人は非常に多くなり、日々猫や犬に癒されている方も多いと思います。
そんな中、動画では「捨て猫を拾って保護した」という投稿を時々見かけます。
そんな動画を見ると、自身も同じように猫を飼いたいと思う方もいるかもしれませんが、それには事前の知識と準備が必要となり、決して無責任に行動を起こしてはいけません。
1つ質問をさせていただきましょう。
「道に放置されていた猫を見かけて、あなたは保護したいと思いました。どうしますか?」
「そのまま家に連れていき世話をする」という答えだけは避けていただきたいと思います。
と言いますのも、猫に触る前に最初はどこに連絡や相談をし、自身はどうしたいのかという意思を固めてからではないと、猫にとっても人間にとっても不幸な事態になります。
今回は、私が中学生の時に体験したとある猫との出会いから学んだ現実とその後の対処についてご紹介したいと思います。
中学生時代の私が出会った一匹の猫
簡単に当時の私をご紹介致しましょう。
当時、私は中学生の男の子でした。部活動はバスケットボール部に所属し、ゲームをすることも身体を動かすことも好きな子供で、恐らくですがよく見かける一般的な子供だったと思います。
もしその時の私に特徴があるとすれば、「好奇心旺盛」だったことかもしれません。自身が気になる事に首を突っ込みたがる性格で、学校帰りに知らない場所へ行ってみたり、買う気も無いのに知らないお店に入ってみたりと、とにかく気になったら実行する質でした。
そして、そんな私だったからこそ、出会ってしまったのでしょう。
学校帰りに私が知らない道を通って寄り道をしていると電柱の下に段ボールがあり、
その中に普通のサイズの猫が一匹居たのでした。
猫は、こちらを見上げると興味の無さそうにすぐ顔を下に戻してしまいました。
(わぁ、猫だ!)
好奇心旺盛な私は、暫くその猫をジッと見ておりましたが、
その内ある衝動に駆られてしまったのです。
(家に持ち帰りたい)
中学生なら当然なのか、それともまともな中学生ならもっとマシな判断をすべきたっだのかは分かりませんが、
私は段ボールごと持ちあげて、家まで連れて帰ってしまったのでした。
いきなり見ず知らずの人間にお持ち帰りにされてしまった猫でしたが、
幸いにも暴れたりはしませんでした。
因みに野良猫は、暴れたりして引っ掻いたり噛んだりする可能性があるので、絶対にすぐ触ろうとしてはいけません。傷口から細菌が感染してしまい、病気になる可能性があるからです。
そんな事を露ほども知らずに、私は自宅前に到着しました。
妄想と現実
ピンポーン。
私は自宅のチャイムを鳴らしました。
「どっどうしたの!?」
私の母は、少し怒ったような言い方で驚きました。
私はその母の態度を見て、自身のした事は軽率な行動だったとようやく察します。
「すぐ戻してきなさい!」
私は、ビクっとして「飼いたい」とか、「ほら猫だよ」なんて言えるタイミングも無く、
「はいっ…」と答えてから、もと来た道を通って段ボールごと猫を戻すハメになりました。
私は家に帰ると母親に叱られました。
内容は、ウチは猫は飼えないなんていう内容ではなく、
単純に中学生にもなって道端にあるモノを拾ってくるんじゃないという事でした。
そして母親は、暫く説教をした後に私にこう言いました。
「あんたが猫を戻しに行っている間にちょっと調べたんだけどね。
捨て猫ってすぐ保護しようとしたり、触っちゃいけないみたいよ」
真剣に話を聞く私に、母はこう続けます。
「特に、野良猫は人間に感染するウイルスを持っている可能性もあるし、噛まれたりして怪我をする場合もあるの…」
そして母のその先の言葉がとても重要なので、その内容を下記にまとめてみました。
①道端の猫を保護したいと思うなら、その猫が野良猫なのか、
飼い主から逃げてしまった迷い猫なのか、本当に捨て猫なのか判断をしないといけない
⇒捨て猫なら警察に連絡
⇒迷い猫なら自治体や動物愛護センターに連絡
⇒野良猫なら触らない、怪我などの緊急なら自治体や動物愛護センターに連絡をし、指示を貰う
②捨て猫は自身ですぐ飼うことは出来ず、警察に遺失物の届けを出してから3か月以上経過しないと正規の飼い主として飼うことは出来ない。
③義務ではないが、猫の体調が芳しくない場合、状況に応じて処置も必要になる。
※排泄処理やご飯、体温保持の為の処置、病気や緊急性の判断など
(しかしこれらの判断は、生半可な知識では出来ませんので、やはり専門家の指示に従った方がいいでしょう。専門家の指示があれば、そのように行動してください)
以上母がその時に私に教えてくれたことですが、私にとってその情報は、普段私が知っている知識とはあまりにかけ離れておりました。
Youtubeで紹介されているような「捨て猫から家猫になるまでの動画」や、知人から聞いた「捨て猫を拾った話」、「野良猫をモフモフしている動画や画像」などなど。
それらも確かに現実で起きている事ではあるのですが、
実際は調べなくては分からないような法律と情報ばかりで、その事実は、当時の私の楽しい期待や妄想を一気に壊してくれました。
一般的によくやりがちな「道端の野良猫を触る」というこの行動すら、
基本的には避けるべき行動だったのです。
興味本位の危うさ
その後、私は猫が心配で、毎日学校帰りに猫がいる道を通っては眺めたり、褒められたことではありませんが、ペットボトルのキャップにコンビニで買った牛乳をあげたりしていました。
(猫の中には乳糖不耐症の猫もおり、下痢や嘔吐を引き起こす事もあるので、人間用のミルクを与えてはいけません)
そんな中、母も気になっていたのか、あれから捨て猫に関して調べていたようで、
父と相談し、その猫を少しでも何とかしようと動いてくれていたみたいでした。
先ずは、父が猫が居る現場に行き、猫の状況を見てくれました。
見た目は、首輪を付けてなくて捨て猫っぽく、体調はあまり良くないように見えたようです。
父は、最初どこに相談したらいいか分からず、市役所にどうすべきか相談したところ、
保健所か動物愛護センターに相談するといいと言われ、保健所に相談することにしました。
保健所に相談をしてみると、
一般的にその猫が迷い猫なのか本当に捨て猫なのか分からない為、勝手に自身で保護したりすると法律に関わることもあるそうなので、先ず警察に相談するといいと言われました。
次に警察に相談し、その猫を「遺失物」として届けることになりました。
因みに3か月経過しても飼い主が見つからない場合は、発見者が引き取ることが出来ますが、その3か月間は自宅で保護して世話をしないといけないらしく、父は悩むことになります。
結局自宅では保護できない理由から、動物愛護センターに相談することになりましたが、父はあまり気が進まなかったようです。
と言いますのも、動物愛護センターで引き取っていただいた後に里親が見つからない場合、殺処分されてしまう可能性が高いのです。
動物愛護センターに状況を説明し、出来れば殺処分を防ぎたいと伝えたところ、
センターから協力している動物保護団体を紹介してもらい、猫をそこで引き取ってもらうことになりました。
その保護団体では無料で猫を引き取っておりましたが、
引き取られる猫の不妊去勢手術が行われていないという理由から、引き取るのにどうしても別途費用は掛かってしまったようです。
父はそのお金は払ってくれたので、猫は、無事保護団体に引き取られていきました。
父も母も安心しておりましたが、私は何とも複雑な心境でした。
何故なら、私が見聞きした捨て猫の保護の流れとは全く違うものであり、そんな感動的なドラマがあったわけでは無く、ただただ法律と費用、時間が掛かったという現実がそこにあったからです。
その時の私には、少し前まで考えていたような
「捨て猫を保護して家猫として飼えるかもしれない」なんていう考えはもうありませんでした。
それよりも、もし自分があの時に猫を見つけてなかったら、あの猫はどうなってしまっていたんだろうという事を何度も何度も考えていたのです。
因みに、「捨て猫を保護しました」という動画をよく見かけますが、基本的に迷い猫かどうかも分からないので、緊急でもない限り「勝手に」保護してはいけないそうです。
大人になった今、私は改めてこのルールや規則を知り、
自身の生半可な知識で動物を助けようとしては決していけないと感じております。
好奇心旺盛とはいえ、興味本位とは恐ろしいものだと痛感しているのです。
最後に
以上ここまで、私が中学生の時に体験した猫との出会いから学んだ現実とその後の対処についてご紹介しました。
捨て猫を見て、いくら助けたいとか保護したいと思ったとしても、
上記で紹介したような知識や流れを事前に分かっていないと、「大人」でも間違った判断をする場合があります。
私は、大人の判断とは大人になったから出来るのではなく、大人の判断をしようと努めるからこそ出来ると思うのです。
好奇心旺盛なのは良いことですが、
以前に本当の意味での大人としての振る舞いや判断を忘れてはなりません。
それが、本当の意味で動物を守ることにも繋がると、私は思うのです。
diary.st著
