突然ですが、皆様はペットを飼ったことはありますか?
飼うとなるとそれなりの環境と費用が掛かりますが、そのような環境が無くても飼いたいと思うことがありますよね。
私の実家では妹がまさにその状態で、親に飼いたいとせがんでおりましたが、当時は叶えてもらえませんでした。
子供の頃に飼うことは叶いませんでしたが、内心諦められなかったのか自身が家族を持つようになってからは、また飼いたいと思うようになりました。
私の仕事仲間はペットを飼っている方が多く、無意識に羨ましいと思っていたのかもしれません。そんな中、妻とも相談して犬を一匹飼うことにしたのです。
今回は、そんな我が家にやって来た一匹のワンちゃんのお話をご紹介いたします。
我が家について
我が家に来たワンちゃんに関してお話しする前に、簡単に私の家族をご紹介しましょう。
私達家族は3人家族で、私は営業のお仕事に就き、妻は子供が生まれてから専業主婦となり、子供は現在10歳の小学4年生です。
我が子の名前はダイキと言い、男の子です。
ダイキも妻も活発な性格をしており、とにかく「動くこと」が好きで、性格上じっとしているのがあまり好きではありませんでした。
二人とも常に身体を動かしていたので、私と違って妻なら料理やエクササイズ、外に行ってダイキと出かけたり、ダイキなら妻や私と遊ぶか、近くの公園で走り回ったりすることが大好きでした。
ですから犬を飼ってみようかと相談した時は、一瞬で飼うことに決まりました。
犬を飼って一番やりたい事は犬と一緒に走ることみたいで、早速私達は犬が飼えるような環境を作って、ペットショップに突入したのでした。
本来、犬で無くてもペットを飼う時には、命を大切にすること、最後まできちんと面倒を見ることなど、そのような心構えと環境を用意してから飼い始めると思います。
一方、妻とダイキは活発な性格が上手く働いたのか、飼うとなったらペットの基礎知識を一斉に勉強し始め、ダイキに至っては、
「僕、必ず大事にして面倒見るからね」
と、10歳の子供にしてはあまり出てこないような言葉を発していたので、私は妻たちの勢いにたじろいでしまいました。
(これだけ熱心に面倒を見ることに意識があるなら安心だな)
私もそう納得しつつ、家族全員でペットショップに向かうことになったのでした。
我が家にきたワンちゃんは…
ペットショップに着いた妻とダイキは、もうそれはそれは興奮しておりました。
「お母さん、どれにしよう!」
「うーん、迷うわね…どれも可愛いし」
私が二人の様子を見守ること約20分、そしてようやく決まりました。
「お父さん、これがいい!」
よく見ると、ケースからこちらに向かってずっと舌を出してはぁはぁしている犬がおりました。多分ですが、ワンちゃんの方も我々を気に入ってくれたのでしょう。
犬種は、ヨークシャーテリアでした。
ダイキの隣で妻が興奮気味にこう言います、
「走るのが大好きそう!」
(そう言えばさっきからずっとこっち向いたり歩いたりしてるな…。まるで…)
おっと、「まるでウチの家族みたいだ」とは言ってはいけませんね。
ウチの家族に行動や動きがそっくりなワンちゃんは、我が家で飼わせてもらうことになりました。
私も犬種の特徴には詳しくはないですが、やはり活発でよく走るワンちゃんのようです。
ワンちゃんの仲間入りを喜んでいた私達でしたが、まさかその後、あんな事件が起きるとは思いもよりませんでした。
我が家の大事件
ワンちゃんの名前は、「チーズ」という名前になりました。
決して、どこかのキャラの名前をパクったわけではありません。
そんなチーズがある時、公園でダイキと走って遊んでいる時にその事件は起こりました。
チーズがたまたま公園の外まで行ってしまった時にちょうど自転車が通り、ぶつかってしまったのです。
幸い、自転車がそんなに早く走行しておらず、自転車の方も怪我はありませんでした。
私は、急いで現場に駆け寄ってその方に謝罪をしてその場を収めましたが、その後チーズを見ると少しよろめいているのが分かりました。
「どうしたのかな…」
ダイキが心配そうに言います。
一応見た目だけでは血を流しているなどの外傷は見当たりませんでしたが、
(自転車にぶつかってるし、打撲とかもしかしたら骨にヒビが..?)
私は、そこでうずくまってしまったチーズを見て危険だと判断し、少し手が震えながらも動物専門の救急車をその場で呼びました。
(あんまり下手に動かさない方がいい…)
そう判断したからです。
いつも元気なダイキもこの時ばかりは本当に暗い顔をしており、少し泣きそうな顔をしておりました。
「大丈夫だダイキ、早く病院で診てもらおう」
私は、少し頼りない声でダイキに声を掛け、その後現場に着いた救急車と一緒に病院へ向かいました。
「骨は大丈夫のようです。ただ大きな打撲はありますので、少しの期間は安静にしないといけませんね」
獣医の方からそう言われて、骨折をしていないことに少し安心をした私でしたが、ダイキの顔はまだ暗いままでした。
「ダイキごめんな!お父さんがチーズを止められていれば…」
勿論、これは親の私の監督不行き、私の失態です。そんな事に私も少し落ち込んでいた最中、ダイキがこんな事を言い出したのです。
「お父さん、僕も治すの手伝えないかな?」
「えっ?」
私は、突然のダイキの言葉に驚きましたが、ダイキのその優しさにこう伝えました。
「出来るよ!家に帰ったら、しっかり看病しよう!」
私がそう言ったら、ようやくダイキは少し顔が明るくなりました。
しかし、本当にビックリしたのはその後だったのです。
我が子の未来
家に帰ると妻も心配そうにチーズに駆け寄りました。
「骨折とかはしてないみたいで打撲で済んだみたい。安静にしていれば問題無いって」
「あんたしっかり見ておいてよ!!」
当たり前ですが妻に叱られた後に、私はインターネットを使ってとにかく今自身に出来ることは無いか調べ始めました。
その時私の真横にはダイキがおり、ずっと目を真ん丸にして私の検索結果やサイトを見ておりました。
サイトには犬を安静にさせる為の工夫や怪我の進行状況の確認方法などの情報が幾つかあり、とりあえず処置として間違いなさそうだと思った情報は出来る限り実行しました。
一通り調べ終わってパソコンを離れた私でしたが、ダイキはずっとパソコンとマウスを使って検索を続けておりました。
そのダイキの姿に少し感動を覚えつつも、私は日々の仕事を出来る限り早く切り上げ、チーズの看病に全力を上げました。
数日後、チーズはようやく怪我も治り、普通に歩くことが出来るようになりました。
私も妻も一安心でしたが、なにやらダイキの様子が変に感じました。あまり喜んでいるようには見えなかったのです。
「どうしたダイキ?」
少し不安になって私はダイキに尋ねると、
「僕、今度またチーズが怪我した時に治せるようにお医者さんなるよ」
改めて言いますが、10歳の子供とは考えられないような発言でした。普段何にでも挑戦する姿勢はよく分かっておりましたが、下手すると大人の私よりしっかりしていると思えるほどでした。
その後、妻がこう私に言いました。
「多分、怖かったんだと思う。もしチーズが動かなくなったらって思うと…」
この事件はダイキにとってトラウマとなってしまったのかもしれません。しかし、これをきっかけにダイキは、本当に獣医を目指すことにしたみたいでした。
現在は、いつもは走り回っていたダイキがパソコンで検索し続ける姿が多く見受けられるようになりました。
私は、この出来事を通して自身も何か頑張らなきゃいけないという気持ちに駆り立てられるような感じがしたのでした。
以上ここまで、我が家のワンちゃんの出来事をお話ししました。
私がダイキに出来る事は、彼がきちんとその夢を叶えられるようにサポートすることだと思っております。
それがせめて大人として、親としてふがいない私が出来る事であり、これからもダイキのように真剣にこの責務に向き合っていく次第でございます。
diary.st著
